見えない見えにくい人への障害はどのようなことでなくなるの? ーー 歩行編 ーー (視覚障害者の歩行)

掲載日:2017年10月23日

★白杖

白杖を持って歩く女性のイラスト

この杖には2つの役割があります。
1.見えない・見えにくい人自身がこの杖を使って前方の障害物を感知したり、杖の先が地面に当たったときの音を聞いて、まわりの状況を判断したりします。
2.周囲の人に「見えない・見えにくい人」であることを知らせる役割をします。

*道路交通法で、前方の安全を自ら確かめることが困難な人は白か黄色の杖を持つと決められています。

白杖を使うことで、前方の情報を収集できるので、歩行の障害(不便)は軽減されますが、白杖で収集できる情報だけでは歩行に必要な全ての情報を得ることができないのが現状です。
ここに周囲の人の配慮(声かけ・情報提供)があることによって、さらに障害(不便)は軽減され、無くすこともできます。

★ 盲導犬

盲導犬を持った男性

盲導犬は飼い主である見えない人に、「路地があること、段差があること、階段があること、入口の場所」などを知らせます。
このように視覚にだけわかる情報を盲導犬が「犬自身の体の動き」という触覚情報にして飼い主に伝えますので情報不足という歩行の障害(不便)は軽減されます。

飼い主である見えない人が盲導犬に「どちらに行くのか」の指示を出して歩きます。盲導犬が見えない人を連れて行くのではありません。
盲導犬は飼い主の見えない人の指示通りに歩きます。そのときに盲導犬は飼い主に危険がないルートを歩きます。
飼い主が行けと指示をしても危険な場合には指示されても動きません。
飼い主の見えない人が盲導犬の食事や排泄、衛生管理など、全ての世話をします。

盲導犬使用者も犬から伝わる情報だけでは不十分で迷うこともあります。
そのようなときに周囲の人の配慮(声かけ・情報提供)があることで迷うという障害は軽減したりなくなったりします。

※盲導犬を見かけたら、
ハーネス(胴輪)をはめているときは仕事中です。
仕事中の盲導犬に声をかけたり、触ったりしないでください。犬の気が散ると仕事がおろそかになり、パートナーが危険にさらされないとも限りません。
もし、犬に触りたい、犬とふれあいたい、などということでしたら、パートナーに声をかけてみてください。
時間があるときで止まっている時には、きっとハーネス(胴輪)をはずして、仕事中ではない状態にして、犬とふれあうことをさせてくれることが多いと思いますよ!

補助犬マーク

※補助犬法
この法律により、盲導犬は「乗り物、宿泊施設、飲食施設、学校、病院等」にパートナーとともに入れることを保障されているのですが、まだまだ入店を断る飲食施設があることは残念なことです。

※ 覚えている情報
街には視覚にのみ情報発信しているものがほとんどですので、見えない・見えにくい人は情報不足になり、歩行に障害(不便・困ること)が生じます。
逆に言えば歩行に必要な情報が得られれば、歩行という動作についての障害はなくなります。
その一例として、
見えない・見えにくい人も、自宅の中でしたらほとんど障害(不便・困ること)なく行動(歩行)していることをあげることができます。
これは自宅内がどのような間取りなのか、どのような家具の配置なのかといった情報が「覚えている情報」として持っていることで障害(不便・困ること)が格段に軽減されているからなのです。

これは見えない・見えにくい人が特別な能力を身につけているということではありません。見える皆さんも「覚えている情報」はいつも無意識のうちに使っている情報です。
「トイレに行きたいな」と思って家の中を隅から隅まで「トイレはどこだったかなー」と見まわして探してトイレに行きますか? 自然とトイレの方向に歩いていくのではないでしょうか。「覚えている情報」を活用しているからですよね。

そして「たびたび行くところ」、例えば毎日通っている学校や会社、自宅の最寄り駅なども道順を覚えていますよね。毎日「さて、学校はどうやって行けばいいのだろう」と地図を調べたりはしませんよね。「覚えている情報」を活用して出かけますよね。

見えない・見えにくい人も同じです。
なので、その「覚えている情報」とその場の状況が一致していれば、かなり障害(不便・困ること)なくどんどん行動する見えない・見えにくい人もいます。

ここで大切になってくるのは「覚えている情報」と「その場その場の状況」とが「一致している」ということです。

 いつも利用していて様子がよくわかっている駅前の道。点字ブロックの上を歩いていくと改札口に着くはず。ところが今日はブロック上に車が止まっている。
いつもはそこには何もなく危険な因子もなく、安全に駅まで着けるという情報を持って歩いているところ、駐車車両があることで

○ぶつかるという危険(安全を阻害される)
○歩行動線の寸断(情報の寸断)
という2つの社会的障壁(バリア)が生じてしまい、結果そこには
「見えない・見えにくい人」に障害が作り出されてしまうということになります。

このように「覚えている情報」と違う状況になったときには、
「覚えている情報」で軽減されているはずの障害(不便・困ること)が新たな社会的障壁(バリア)によって障害の軽減につながらなくなってしまうのです。

駐車という他の人に配慮しない行動をしないことはもちろんのこと、
もしそのような状況の時に見えない・見えにくい人に「車が止まっています」と見えた情報を、聞こえる情報として提供してくれるという配慮をしてくれる人がいてくださると、障害は無くなっていきます。

街に出たときに周囲を見回してみてください。
街には文字情報があふれていますがそれは視覚だけがキャッチできる情報です。そして電柱がある、花壇がある、ここにバス停がある、ここには階段があるなどなど、
「ものがある」という情報はなかなか視覚以外でわかる状況にはありません。
白杖がぶつかったときや、盲導犬がよけて歩いたりということで見えない・見えにくい人にはじめて伝わるものです。
見えない・見えにくい人にとって街を歩くことはとても情報不足の中の行動と言っても過言ではありません。

白杖を利用する人・盲導犬を利用する人、ともに、周囲を歩く人たちの配慮があることによって、歩行の安全が図られ、情報不足、つまり障害(不便・困ること)が解消されていきます

目的の場所の前まで行っていたとしても、その場所であるということを看板という「見えることがあたりまえ」とした情報提供しかされていないことが多いので、見えない・見えにくい人には確認ができないという障害(不便・困ること)が作り出されています。
しかし、見ること以外からわかる情報提供の仕組みがあったり、通りかかった人のちょっとした配慮があることで、この「見えることがあたりまえ」とした情報提供しかない」という障害は、なくなるのです。

「このあたりに○○があると思うのですが、どこでしょうか」と情報提供を求めている「見えない・見えにくい人」がいたときに、「それならもう少し右の方が入り口です。そこまでいっしょにいきましょう。」などと、ご自分が「見た情報」を、言葉という「聴覚情報」、「いっしょに行きましょう」という「触覚情報(誘導)」というものに変換して提供するという配慮をしてくれることで、「見えない・見えにくい人」の「目的地を探すことが困難」という障害は、無くなるのです。

製品やサービスも同じことがいえます。
ユニバーサルデザイン製品を使うことを紹介しましたが、いわゆる健常者と言われる「ある一定の人にだけ配慮された製品やサービス」でなく、最大限にいろいろな機能の人に配慮した製品やサービスができることで、障害の状況に置かれる人がどんどん少なくなるのです。

見えない・見えにくい人にとっても「単に見えない・見えにくいだけ」であって、障害(不便・困ること)が存在しない社会が訪れることを願っています。

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