冊子p24p25 なにが「障害」になって、どうしたらなくなるの? [障害理解のための冊子の該当ページを縮小して掲載] ==========その内容ここから ●本文: (1)どんな「障害」があるのか (2)なぜ「障害」が作りだされてしまったのか (3)その「障害」をなくすにはどうすればよいか イラストを見て友達といっしょに考えてみてください。 [4つのシーン] ==========内容ここまで [以下、解説書掲載内容] :グループ討議の提案 これら4つのシーンを使ってグループ討議をする時間をぜひとってください。正解があるわけではありません。これまでに考えてきたことを、具体的に活用してみる機会として提案しています。 社会が作り出している障害は何か、どうすればその障害をなくせるのかについて話し合い、そこから自分ができる具体的な行動を考えることで、みなさんが実際場面での応用ができるようになることを願っています。 シーンA:重い扉が閉まっていて開けられないために中に入れない [障害理解のための冊子の該当ページを縮小して掲載] ==========その内容ここから p24 上側(シーンA) ★イラスト 大きな荷物を持っている少年、重くてふらふらと歩いている、ドアの前、ドアが閉まっている。そこに通りかかった人がいる。 ==========内容ここまで *着目点は「閉まっている重い扉(環境)」です。「両手が使えないこと(からだの状況)」ではありません。 まず、扉がどのようなら障害はなくなるのかを考えてみてください。自動ドアならいい、体で軽く押すことで開けられたらいいなど、様々な解決方法が考えられます。 次に周囲に目を向けてみてください。この場面を見ている両手が空いている人がいます。この人にできることを考えてみてください。そして、この人が見て見ぬふりをしたら、障害はどうなるかも考えてみてください。 シーンB:バリアフリー設備(点字ブロック)を利用している人が、そのまま進むと人にぶつかってしまう [障害理解のための冊子の該当ページを縮小して掲載] ==========その内容ここから p24 下側(シーンB) ★イラスト 誘導ブロックを何の不安もなく堂々と歩いている直子さん。その先に誘導ブロックの上に大きな荷物を置いてスマホを見ている男子高校生。そこに通りかかった人がいる。 ==========内容ここまで *着目点は「バリアフリー設備」です。「この人の目が見えないこと」ではありません。 まず、点字ブロック上の状況が、どうなら障害はなくなるのかを考えてみてください。この男子生徒は点字ブロックが何のためのバリアフリー設備なのかを知らないために、結果的に障害を作っているのかも知れません。あるいは、点字ブロックのことは知っていても、見えない人なんか来ないだろうと自分優先の考えで障害を作っているのかも知れません。 原因の洗い出しができたら解決方法を考えてみてください。 次に周囲に目を向けてみると、目で見て状況を把握している人がいます。この人にできることを考えてみてください。 シーンC:高いところにある本がとれない [障害理解のための冊子の該当ページを縮小して掲載] ==========その内容ここから p25 上側(シーンC) ★イラスト 図書館。一人の男性が図書を探していたら、すぐ横に男の子が来て一番上の段の本を取りたくて手を伸ばしている。でもその手がとどかない。その男性には踏み台が見えているが男の子からは見えない。 ==========内容ここまで *着目点は「高いところに本があること」です。「この人の背が低いこと」ではありません。 まず、環境(本の収納状況)に着目して障害の原因を洗い出し、解決法を考えてみてください。 次に周囲に目を向けると、背の高い人がいます。この人にできることを考えてみてください。 シーンD:スペースがなくてエレベーターに乗れない [障害理解のための冊子の該当ページを縮小して掲載] ==========その内容ここから p25 下側(シーンD) ★イラスト 階段とエレベーターが横並びである。エレベーターには子どもも含めて一見健康そうな人が4人乗っている。ドアが開いたら車いす使用者がエレベーターに乗るために待っていた。エレベータには車いすが楽に入れるだけのスペースがない。 ==========内容ここまで *この例は、「人の意識」について深く考えてみるためのものです。垂直移動に関して、円滑な移動を妨げられている状況があることを示しています。 環境に着目して、ここにはどんな垂直移動設備があってそれぞれ「どんな人が依存できる設備なのか」を考えてみると、歩ける人は階段を使えばいいという意見が出てくると思います。 ある意味その通りですが、単純にそのように決めていいのかと、もう一歩考えを進めてみてください。 見た目でわからないからだの状況の人もいるかも知れません。内臓の病気の人や今たまたま具合が悪い人など、様々な状況のある人がいる可能性があります。このようなことから、ここにいる人たちでコミュニケーションをとり、それぞれのニーズを考えてバランスをとることがとても大切になってくるのです。 環境に多様な人への配慮があることで、障害は劇的になくなります。しかしその配慮が現時点では乏しいことや、環境整備だけでは取り除けない障害もどうしても出てきます。ですから「人と人とのかかわり」も重要なポイントになってくるのです。 ★障害は一人一人が作ることもなくすこともできる これまでこの冊子では障害(バリア)が作られる原因とその解決法について様々な例を通して考えてきました。 そして、社会とのかかわりの中で、誰にでも障害があったりなかったりすることにも気づかれたと思います。 @ 健常者も含めた「人のからだの状況(使用言語・得意不得意・体格 等も含む)」に合わせた使いやすい設備・道具・情報サービスといった社会のしくみがある A 人の意識が他者との違いを理解し、認め合い、互いに協力・配慮しあうことが社会の当たり前になっている 社会のしくみを作るのは「人」です。多様な人が暮らしやすい社会を作るのか、一定のからだの状況の人(健常者)だけが暮らしやすい社会を作るのかは、全て人の意識に起因します。一人一人が多様な他者を意識することで、誰もが障害のない共生社会ができると言っても過言ではありません。障害は一人一人が作ることもなくすこともできるのです。 笑顔の直子さんから吹き出し: あなたは障害をなくす人になりますか? それとも作る人になりますか?