だれもが当事者― 障害をなくして、誰もが生きやすい真の共生社会へ ―

新冊子直子さんと旧冊子の10人が横並びで手をつないでいる。全員笑顔。

社会には多様な人(いろいろな人)がいます。
肌の色や目の色、髪の毛の色も様々。年齢も様々。目や耳や鼻の形だって、みんな違いがあります。体格だって様々。
体の機能だって様々。
二本の足を使って移動する人、杖と足で移動する人、車椅子で移動する人。
目で見て情報をとる人、耳で情報をとる人、触って情報をとる人、それらの2つもしくは3つを組み合わせて情報を取る人。
得意なこと・好きなことだって様々。
地球上の何億人という人々の中で誰一人として同じ人はいないのです。
こんな多様な人が暮らしている社会。

何で「暮らしにくいこと(困る・不便)」がある人と、そうでもない人がいるのでしょうか。
①からだの機能障害がある人の暮らしに、なぜ「困ること・不便なこと」があるのでしょうか。
→社会のしくみは、どんな人に便利にできていますか? それは多様な人の利用を想定していますか?
②からだの機能障害がある人がなぜ「へん・劣っている」と蔑視されたり異質な者として排除されたりするのでしょうか。
→誰一人として同じ人はいないのに、一人一人の意識が「みんな違って当たり前」になっていますか?

誰もが互いの違いを認め合って、配慮し合うことができたら皆が幸せに暮らせる社会になることでしょう。
子どもたち自身が、多様なニーズと個性を持った他者の人格を認め尊重することの大切さを、自分の問題として考えられるようになり、いじめなども自分たちで無くすこともできるし、作り出してしまうことにもなる」ということを気づくきっかけとなる時間を、多くの子供たちに提供していきたいと思っています。

社会モデルは障害をなくすカギ

小論文:新しい障害の考え方と合理的配慮の提供について

法人の前理事長が社会モデルや障害者を取り巻く環境について簡単にまとめました。
★新しい障害の考え方と合理的配慮の提供について

冊子p22のイラスト: 3人の女子学生が文房具屋さんの入り口でおしゃべり、お店に入ろうとしている男性が困っている。

障害とは?

健常者でも、「自分にとって使いやすいものがないとき」には困りませんか?
周囲の人に無視されたり、配慮がなかったりするときに、困りませんか?

このように、からだの機能に障害がなくても、周囲の状況に障害(バリア)があると困ってしまいます。
「からだの機能障害がある人」も同じです。
自分にとって使いやすい道具がなかったり、周囲の配慮がなかったりするとき、それが障害(バリア)となり、困ります。
障害とは、社会の環境が作り出すもの(社会モデル)であり、人のからだの機能障害(個人モデル)ではないのです。

障害理解のための冊子【解説書】のトップにあるイラスト
青に変わったことが伝わらない(青信号でわたれない)のはなぜ?

上の図で考えると、
青に変わったことが伝わらない原因を「目が見えないから」とするのが個人モデル・医学モデルです。目を見えるようにしなければ伝わりません。
一方、社会モデル・人権モデルでは、「多様な人がいることを無視して音の出ない信号機を設置したこと」が原因であると考えます。信号機のしくみを変更すれば伝わります。
「障害(バリア)の原因と解決の責任がどこにあるか」が、社会モデルと個人モデルでは大きく異なります。

社会モデルでの障害理解の必要性

なぜ社会モデルで障害を理解することが不可欠なのでしょう。
それは、社会モデルは、障害を無くし、誰もが困ることなく楽しく暮らせる共生社会を実現するためのカギだからです。
なぜ社会モデルは障害をなくすことができるのでしょうか。
それは、真の障害に気づけ、それをなくす行動に結びついていくからです。
これらを考えるとき「障害がどこにあると考えるのか」にカギがあります。

社会モデルでは、障害は「人の意識も含めた社会の環境・しくみにある」と真の障害を捉えています。
例えば社会モデルで考えると
「足を使って移動するのが当たり前」の想定で作られている道路や建築物の在り方そのものが、車いすなどの多様な移動の仕方をする人に障害となり、これが原因で困りごとができることに気づくことができます。
「見えるのが当たり前」の想定で「見ることでだけ情報が伝わる情報発信」をすることが、目の見えない人に障害となり、それが原因で困りごとができることに気づくことができます。
このように、困りごとの原因となっている「障害がどこにあるのか」に気づくことができるのです。
原因がわかれば、そこに対処すれば障害はなくなります。
その結果、多様な人たちが困らなくなるのです。
一方、個人モデルでは「人のからだの機能障害」だけが困りごとの原因と考えるので、
健常者だけに便利なものが作られ続け、差別や偏見も含めて永久に障害はなくなりません。

社会モデルは人の意識改革も含め、障害を取り除くことができるので、
人の差別偏見意識も含めて社会から障害がなくなり、多様な人が困ることのない真の共生社会ができていくのです。
また、からだの機能障害が無い人にとっても、自分たちの日常生活にも障害があることに気づくので障害を自分事として真剣に捉え、障害を作らない、あったらなくす行動に結びついていくのです。
つまり、自分だけが楽しいのではなく、他の人が困らないように考えたり、困っている友達がいたらいっしょに解決の方法を考えたりする、ことなどに結びついていくということです。
このようなことで、社会モデルで障害を理解することが不可欠なのです。

障害をなくす重要な要素

考え方

★障害とは
★障害者とは
★ノーマライゼーションとは
★共生社会とは
★社会的障壁とは

社会のしくみ

障害をなくす社会のしくみは、大きく3つあります
★ユニバーサルデザイン
★バリアフリー
★人的配慮(適切な調整)

人の意識

★人の意識の具体的思考・プロセス

★身近なところに目を向けてみよう

★平等ってなぁに? ーー 考えてみてください ーー

私たちの講座について

講座の目標

『 だれもが楽しく暮らせる社会を考える 』
まずは自分たちの身の回りの家庭や学級といった小さな単位の社会において
互いの違いを認め配慮しあうことで、障害(バリア)を作らない、あったら無くせる人たちを増やすことです。
そして、その延長線上で、多様な人たちがクラス地域社会の中でもこのことを実践することで、
人の意識が「みんな違って当たり前」となり、差別や偏見が無くなることで、製品やサービスからも障害がなくなり、真の共生社会ができることです。

障害の考え方は社会モデル

社会モデル・人権モデル と 個人モデル・医学モデル の対比

社 会 モデル ・ 人権モデル個 人 モデル ・ 医学モデル
基礎となるもの世界的な考え方無意識に思い込んでいる考え方
人の価値多様性の尊重
(みんなちがって当たり前)
健常こそが正常である
障害者の捉え方一人の人間として尊重庇護する対象として見る
障害の意味バリア(社会的障壁)からだが不自由なこと
障害の原因配慮の不平等病気やケガ
障害の解決法配慮の平等病気やケガが治ること
出典:久野研二(2018)「社会の障害を見つけよう:一人ひとりが主役の障害平等研修」(現代書館)をもとに作成

従来の講座との違い

私たちの障害理解講座は 障害平等研修(リンク) を参考にしています


従来の講座との違いの対比

私たちの 障 害 理 解 講 座
社会モデル・人権モデル
従 来 の 啓 発 研 修
個人モデル・医学モデル
研修実施者視覚障害当事者医療や福祉の専門家
実施する体験見ないで「できる・わかる」体験アイマスクによる恐怖と絶望の体験
着目点社会にある差別や不平等人のからだの不自由
目的人の意識も含めた社会の配慮の不平等で
障害が作り出されていることに気づく
障害者の一般的な助け方を知る
受講後の障害観は自分の生活に関係ある  自分には関係ない  たいへんだ 
受講後の気持ちはありのままでいいんだかわいそう   いやだ
受講後の行動はまず学級内で互いに 配慮して障害をなくす障害者には優しくしてあげよう と思う
私たちの障害理解講座は障害平等研修を参考にしています

誰にも障害 バリア のない共生社会ができるためには、
「全ての人が、社会とのかかわりの中で尊厳のある一人の人として暮らしていること」を、無視しては考えられないはずです。
しかし、従来から人権教育・福祉教育と称して、
「障害者にはやさしくして助けてあげましょう」という個人モデルの講座が当たり前のように実施され続けられてきました。
これは人権を無視するつもりもなく、よかれと考え実施していることなのですが、障害者の機能的制限にだけ着目しているので、無意識のうちに社会とのかかわりは無視されて「健常者から庇護される者・別世界に生きる劣った者」と障害者を位置づけてしまうのです。
このようなことで結果的に差別助長教育になってしまっており、きわめて残念な現状です。
ぜひ、人権教育で何を学んで欲しいのかを今一度考えてみて欲しいのです。

「体験」の在り方

困った顔の直子さん 手形にNOの文字
差別の助長に繋がるような体験はやらないで!! の文字。

従来から「よかれ」と思われて実施されてきた体験活動は、極めて危険な体験です。

★やめて!!! アイマスク体験

★大失敗!!!! アイマスク体験レポート ~一人の小学校教師の実践記~


★おすすめ体験 聞いてわかる!触ってわかる!

障害理解のための動画と冊子

講座の事前・事後学習にも利用いただいています。

(A)障害理解のための動画

★11分30秒の動画です YouTube動画

障害理解のための動画の1シーン:横断歩道の手前で盲導犬を連れた女性に声をかけている少年。クリックするとYouTube動画が始る。


(B)障害理解のための冊子

障害理解のための冊子の表紙です。

表紙をクリックすると全28ページのPDF版が表示されます。

障害理解のための冊子PDF版

★障害理解のための冊子 テキスト版 はここをクリックしてください。


ご自由にダウンロードいただき、ご活用ください。

(C)【解説書】:障害理解のための冊子の解説書

理解を深めていただくために 障害理解のための冊子の【解説書】も作りました

これは、障害理解のための冊子【解説書】PDF版の表紙 です。

表紙をクリックすると全28ページの解説書が表示されます。

障害理解のための冊子の【解説書】PDF版の表紙。クリックすると全28ページが表示される。

★解説書:全文テキスト版 分割テキスト版 はこちらからどうぞ。


★★★ この冊子の文章・イラストの著作権は(特非)神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワークに帰属します。この冊子の全部を複製することは可能ですが、個別のイラストを無断で使用することは固く禁じます ★★★
こちらをダウンロードしてご活用いただいた方にお願いです。
どのようにご活用いただいたのか、ご覧いただいた感想等、できましたら問い合わせフォーム(リンク)からご一報いただけますと幸いです。

私たちと考えを共有する時間をもちませんか

児童生徒の皆様には人権学習(福祉教育)という形で、そして行政・企業・地域の皆様にも研修や学習会などの機会として講座を提供しています。


(A)講師は 視覚障害当事者
直子さん吹き出しで、講座費用 一講座5,000円~(交通費込み)のご用意をお願いいたします。

目の見えない・見えにくい者が実体験を踏まえてお話しします。

講座費用 :一講座5,000円以上(交通費込み)のご用意をお願いいたします。

★伺うのはこんな人たちです

(B)主な講座の流れ
笑顔の直子さん横顔

 講座の「めあて」と「結論」は全員同じですが、

 それぞれの講師の特性を生かした展開です。

        ★主な講座プログラムの流れ

(C)受講者の感想

★活動報告 特に「学校からの感想など」に着目ください。

(D)講師派遣事業紹介リーフレット

社会モデルについて、その必要性等、概略の説明と、講師派遣について記載しています。
ダウンロードしてご活用ください。

このリーフレットはA4を横半分に折ったA5版です。これは表紙と裏表紙です。

A5版 新リーフレットの表紙・裏表紙

上のA5版リーフレットを開くとA4横の内容です。

A5版 新リーフレット内側



★リーフレットPDF版(印刷用はこちらからどうぞ)

★リーフレットテキスト版  リンク


*講師派遣についてのお問い合わせは問い合わせフォームからご連絡ください。

視覚障害者の機能障害と障害(バリア)

目の見えない・見えにくい人の機能障害

目の見え方、目が見えにくい状況、何も見えない状況について紹介します。
★見えるってどんなこと?
★見えない・見えにくいってどんなこと?
★見えない・見えにくい人は聴覚などが飛び抜けて発達するわけではありません
を、見えない・見えにくいってどんなこと? の中に入れたいです。

目の見えない・見えにくい人の障害(バリア)

★見えない・見えにくい人に障害(バリア)が作り出されているのはなぜ?
では、この障害はどうしたらなくなるでしょう。
★見えない・見えにくい人の障害はどのようなことでなくなるの? ―― 視覚障害者の日常生活 ――
★見えない・見えにくい人の障害はどのようなことでなくなるの? ―― 文視覚障害者の文字処理 ――
★見えない・見えにくい人の障害はどのようなことでなくなるの? ―― 視覚障害者の歩行 ――
★あなたにも「見えない・見えにくい人」の障害をなくすことができます
★あなたの何気ない行動が障害を作り出していることがあります


職業、スポーツ・余暇活動


職業、スポーツ・余暇活動について紹介します。
★見えない・見えにくい人の職業(視覚障害者の職業)
★見えない・見えにくい人も、ともに楽しめるスポーツ(視覚障害者スポーツ)・余暇活動 


※本法人会員が「JRPS神奈川」のページに、よくいただく質問とその解説を掲載しています。そちらも参考になさってください。
★JRPS神奈川「クラリス姫の福祉教育」(外部サイト)のページへ