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令和6年度  事業計画

           令和6年度 事業計画  

     
1 事業実施の方針
 我が国が、障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」という)を批准するにあたり、国内で進められた法整備の一環として定められたのが、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という)である。 この法律は障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現を基本理念として掲げられ、2016年4月に施行された。
 障害者差別解消法などの法律では、差別的な対応や行為をしないようにするという、行為の変更を促すことはできる。その意味では法律というものは、行為を変えていくには有効な手段である。 しかし、人の考え方や価値観そのものを変えていくためには、教育的アプローチが必要になってくると考えている。障害当事者が積極的に教育的なアプローチの場に関わっていこうとするものが、当法人が進める障害理解啓発事業への取り組みである。
 今年度も小中高校生を対象とする福祉教育事業を中心として活動を推進するとともに、そのノウハウを生かした社会人向け講座も実施する。これらを円滑に充実して実施するために、さらなる新たな担い手の育成、講師のスキルアップ、教材充実を図る。
 また、最新の情報技術などに関する取り組みでは、NVDA使用者への援助体制を確保し、「取扱説明書のユニバーサルデザイン化」についても引き続き取り組む体制を確保していく。
 そして、これらの活動はホームページを通して積極的に広く社会に発信し、当法人の活動がさらに理解されるよう、より一層の充実をはかっていく。
    
2 事業の実施に関する事項
(1) 特定非営利活動に係る事業
 ① 各種ICT製品及びサービス等に係る事業
  (ア) オープンスクリーンリーダーNVDA使用者への援助
    実施予定日時: 適宜
    実施予定場所: オンライン
    従事者数: 3名
    受益対象者: 視覚障害当事者

 ② ユニバーサルデザイン製品及びサービス等に係る事業
  (ア) 取扱説明書のユニバーサルデザイン化事業
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所及び関係機関
    従事者数: 10名
    受益対象者: 視覚障害者
 
 ③ 障害福祉に関する情報提供、調査、研究に係る事業
  (ア) 各種メーリングリストの運営
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所
    従事者数: 3名
    受益対象者: 視覚障害当事者及び関心のある一般県民等

 ④ 障害に対する理解促進及び啓発に係る事業
  (ア) 福祉教育事業
   (a) 障害理解講座提供
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 依頼校 等
    従事者数: 20名
    受益対象者: 対象校在籍児童・生徒、教員等
   (b) 活動講師研修
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: オンライン、会議室、依頼校等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 福祉教育の講師をする視覚障害者及びその関係者
   (c) 情報発信
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 児童・生徒、教員、社協職員 等
   (d) 教材作成
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 実施校児童・生徒、教員、社協職員等
  (イ) 視覚障害理解映画「INNERVISION」(インナーヴィジョン)の普及活動
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 一般県民等
  (ウ) 社会人向け事業
    実施予定日時: 通年
    実施予定場所: 法人事務所・依頼元事務所等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 依頼元関係者

令和5年度 事業報告書

             令和5年度 事業報告書
              令和5年4月1日から令和6年3月31日まで           

(特非)神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワーク

1 事業実施の成果
 当法人は、平成21年3月16日にNPO法人としての認可を受けた。これまで各種の助成金により、福祉教育事業が充実した。
 令和5年度においては新型コロナに加えてインフルエンザの猛威もある中ではあったが、本法人の中心的事業である福祉教育事業も、連携を深めている社会福祉協議会と協働して実施することができ、20箇所23講座の実施、延べ23人の講師派遣で約2800名の受講があった。多くが人権学習としての依頼であった。社会人向けの依頼もあり、児童生徒だけでなく、社会人に向けても障害理解講座の提供ができた。
 2018年度制作の障害理解のための冊子の解説書の増刷が必要となったことを機会に内容の大規模見直しを行った。社会モデルでの障害理解の必要性が冒頭部分で伝わるようにし、また、各ページの解説の提示の仕方も目で見る視点を取り入れて、より伝わりやすく構成した。増刷部数は2000部。
 ホームページにおいて障害理解に関する情報の掲載を中心に積極的に情報発信を実施してきており、平成21年11月10日からのアクセス数は令和6年4月現在244万2300件を超える実績をあげており、障害理解講座の依頼に大きく繋がっている。このように今までも発進力の充実がはかられ、積極的に発信してきていたが、令和4年度に引き続き、5年度にも大規模改修を実施した。学校からの依頼の多くが従来から人権学習としての位置づけが多く、また社会人向けの依頼も増えていることから、ホームページのコーナータイトルを「福祉教育コーナー」から「人権学習・障害理解コーナー」へと改編し、内容を大きく整理した。
 障害理解講座講師の育成を続けてきていたところだが、令和5年度は新たに3名、誕生した。また、講座で使う講師それぞれの視覚教材について、より一層の充実を図ることができた。
 最新の情報技術などに関する事業については、NVDAの個別勉強会の実施やメーリングリストの運営をする等、取り組みを継続した。
 取扱い説明書のユニバーサルデザイン化については、新たな取り組みはできなかった。

2 事業の実施に関する事項
(1) 特定非営利活動に係る事業
 ① 各種ICT製品及びサービス等に係る事業
  (ア) オープンスクリーンリーダーNVDAの勉強会
    実施日時: 受講者の実情に合わせて随時
    実施場所: オンライン
    従事者数: 3名
    受益対象者: 視覚障害当事者
   決算額: 0円
  
  (イ) オープンスクリーンリーダーNVDAのユーザーサポート事業
      (メーリングリストの運営のみを実施した)
    実施日時: 通年
    実施場所: 法人事務所
    従事者数: 3名
    受益対象者: 視覚障害当事者及び関心のある一般県民等
   決算額: 0円
 
 ② ユニバーサルデザイン製品及びサービス等に係る事業
    実績なし
 
 ③ 障害福祉に関する情報提供、調査、研究に係る事業
  (ア) 各種メーリングリストの運営
    実施日時: 通年
    実施場所: 法人事務所
    従事者数: 3名
    受益対象者: 視覚障害当事者及び関心のある一般県民等
   決算額: 2,658円
 
 ④ 障害に対する理解促進及び啓発に係る事業
  (ア) 福祉教育事業
 (a)講座提供
    実施日時: 通年
    実施場所: 依頼校 等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 対象校在籍児童・生徒、教員等
(b)活動講師研修
    実施日時:通年
    実施場所: オンライン、会議室、依頼校等
    従事者数: 3名
    受益対象者: 福祉教育の講師をする視覚障害者及びその関係者
(c)情報発信
    実施日時: 通年
    実施場所: 法人事務所等
    従事者数: 3名
    受益対象者: 児童・生徒、教員、社協職員 等
(d)教材制作
    実施日時: 通年
    実施場所: 法人事務所等
    従事者数: 10名
    受益対象者: 実施校児童・生徒、教員、社協職員 等
   決算額 (a)+(b)+(c)+(d): 884,414円
  (イ) 視覚障害理解映画「INNERVISION」(インナーヴィジョン)の普及事業
    実施日時: 通年
    実施場所: 映画制作関係者を通して適宜
    従事者数: 10名
    受益対象者: 視覚障害当事者及び関心のある一般県民等
   決算額: 0円
  (ウ) 社会人向け事業
    実施日時: 通年
    実施場所: 依頼元先の指定場所
    従事者数: 10名
    受益対象者: 依頼元関係者等
   決算額: 32,800円
 
 ⑤ その他目的達成のために必要な事業
    実績なし

2023年度(令和5年度) 貸借対照表

ユニバーサルデザイン

 ユニバーサルデザインとは、

調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計のことです。
デザイン対象を特定の人に限定していません。
ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンター所長であった、ロナルド・メイスが1985年に公式に提唱した概念です。

 考え方のポイント

一つのものを最大限の人が使えるようにと目指すことも大切ですが、全ての人が完璧に使えるものを作るのはほぼ不可能です。
そこで、より多くの人が自分の状況に合わせて「使えるという実質」を確保できるようにしておくことがポイントです。

★選べる手段を複数用意すること

例えば、垂直移動設備では、
エレベーター・エスカレーター・階段といった様々な手段が用意されていて、利用者が自分の状況に合わせて選べるようになっていることです。
情報においても同じことです。

★支援技術を付加できる仕組みにしておくこと

一人一人の状況に応じて、より使いやすくできるように支援技術を付加できる仕組みをその製品に付けておくことです。
例えば、最初から音声読み上げ機能が付加されているスマートフォンでは、
目の見えない・見えにくい人にも障害がとても少ないので、情報が伝わりやすいですが、
点字ディスプレイとの接続のしくみがあることで、目が見えなくて聞くことも難しい人にも障害が少なくなり、情報が伝わりやすくなります。
また、聞くことよりも点字で読む方が、より文章の理解が進む人にとっても便利です。

 具体的なユニバーサルデザインの例

○ 手が不自由な人向けの開発だった温水洗浄便座

○ 手が不自由な人向けの開発だった水道コックやドアノブ

以前のドアノブや水道コックは回すタイプが多かったです

昔のドアノブの写真
昔の水道コック(ねじるタイプ)の写真

今はこれらのように押すタイプが増え、さらにセンサーで自動で作動する物が増えてきました

今のドアノブ(レバーを押す)の写真
今の水道コック(レバーを上に上げると水が出る)の写真

○ 日本語の文字から情報を得ることが難しい外国人などのために、文字の代わりに絵文字(ピクトグラム)を使って、各種の情報提供ができます。

お手洗いの看板の写真:日本語・英語・中国語・韓国語だけでなく、子ども・車いすなど様々な人が使えるように絵文字(ピクトグラム)も表示されている。

○ 見えない人が文字を書くための開発だったタイプライター(現在のパソコンのキーボード)

パソコンのキーボードの写真

○ パソコンの画面表示を見やすく工夫する
  音声での出力に配慮した画面表示、構成にする。
→Webアクセシビリティー

○ 「安全」に配慮された自動ドア、エレベータのドア、ホームドアなど

ホームドアの写真

○ 頭を洗っているときは目をつぶっているので、シャンプーのボトルに印をつけ、リンスその他のボトルと区別する。

シャンプーボトルのギザギザ

 ユニバーサルデザインの7原則 

(The Center for Universal Design, NC State Universityによる原文)

① どんな人でも公平に使えること
② 使う上で自由度が高いこと
③ 使い方が簡単で、すぐに分かること
④ 必要な情報がすぐに分かること
⑤ うっかりミスが危険につながらないこと
⑥ 身体への負担がかかりづらいこと(弱い力でも使えること)
⑦ 接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること

○ ビックリ ご存知でしたか?

初めはバリアフリー製品として作られたものが、誰にでも使いやすい・快適なものなので、そのデザインが社会に定着したものが多くあります。
○パソコンのキーボードは、視覚障害者が活字を書くために考案されたタイプライターが応用されています。
○温水洗浄便座は、手が不自由な人がトイレで困らないようにと作られたものです。
○レバー式ドアノブや水道コックは、手の力が弱い人も容易に操作できるしくみとして考えられました。

 社会のしくみを作るのは「人」

様々なからだの状況の人に快適なものは、健常者にとっても快適なものになることに気づかれた人も多いと思います。製品やサービスといった社会のしくみを作るのは「人」です。
人の意識に、初めから最大限の人に配慮がある、つまり発想の根本がユニバーサルデザインであることで社会に障害を作らない、あったらなくすことに繋がるのです。

人の能力や個性は一人一人違います。同じ人は誰一人としていませんし、同じ一人の人でも年齢や環境の変化などで、絶えず心身機能は変化しています。
ですので、心身機能の障害(impairment)の有無や年齢といった、個人の属性や置かれた状況に関わらず、だれもが自立し、互いの人格や個性を尊重し支え合い、社会の活動に参加し、社会の担い手として生活を送ることができる、共生社会の実現に向けた社会環境を整備していくことが重要です。
あらゆる人々が社会生活をしていく上で、障害(バリア)となるものを無くしていくとともに、新たに障害(バリア)を作らないことが重要です。

物理的な障壁のみでなく、制度的、文化・情報的、心理的、今までにつくりだされてきた全ての既存障壁を無くしていくこと(社会的障壁(障害)の除去)とともに、
新たに障害を生じさせないよう、最大限の多くの人にとって利用しやすくデザインする、という考え方(ユニバーサルデザイン)が必要です。


★バリアフリー
★人的配慮(適切な調整)

活動予定

◆ 福祉教育講師派遣

更新日:2021年12月26日

  • 2022年1月12日 横浜市立Y小学校
  • 2022年1月17日 24日 法政大学第二高等学校
  • 2022年 1月22日 横浜市立H中学校

視覚障害当事者講師派遣に関してのお問い合わせはこちらからお願いいたします。

講座実施後には報告を福祉教育活動報告に掲載します。過去の実施報告も掲載しています。
なお、本法人の福祉の理念や事前事後学習の助けになる資料なども掲載していますので、福祉教育コーナーからご覧ください。

年代別に冊子を用意しています

PDFファイルをダウンロードいただき、ご活用ください。
☆☆☆この冊子の文章・イラストの著作権は(特非)神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワークに帰属します。この冊子の全部を複製することは可能ですが、個別のイラストを無断で使用することは固く禁じます☆☆☆
冊子の表紙の画像

※全ての冊子が同じ内容です。
小学生向けはB5サイズで全ての漢字にルビがふってあります。
中学生以上向けはA5サイズです。
指導者向けは、この冊子を使って児童生徒に指導なさる先生方向け解説書でA4サイズです。

こちらをダウンロードしてご活用いただいた方にお願いです。
どのようにご活用いただいたのか、ご覧いただいた感想等、できましたら「お問い合わせフォーム」からご一報いただけますと幸いです。

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「障害」ってなんだろう・「障害」はどこにあるんだろう~体にある障害と社会にある障害 ~
作成者: View-Net神奈川が進める心のUD講座