神奈川県視覚障害者情報・雇用・福祉ネットワーク
(通称:View-Net神奈川)
会長 新城 直


携帯電話による視覚障害支援の可能性(第4弾)
- 日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針」と各キャリアのミッション -

既にこのシンポジウムにつきましては、皆様にご案内させていただきましたが、ようやく各講演者が決まりましたので、そのご報告を兼ねて再度ご案内させていただきます。

今回講演をお願いする過程で、AUさんからは「まだとてもお話しできるような段階ではない」と断られ、若干落ち込んでいたのですが、たまたま京都にて株式会社ウィルコムの社長さんと直接お話しができる機会にめぐまれ、株式会社ウィルコムとして視覚障害者にも使えるユニバーサル携帯電話をつくりませんかとお話ししたところ、その場でかなり前向きなお言葉をいただきました。合わせて、今回のシンポジウムについての参加依頼をしたところ、これもその場でほとんどOKのお返事をいただくことができました。ただ、私としては、今後ウィルコムさんが視覚障害者にも使える携帯電話を製品化していただけるかどうかは、今回のシンポジウムにかかっているような気がしています。

さらに、今回はボーダフォンさんも参加していただけることになり、ボーダフォンさんとしても現在いろいろと検討されていることも分かりました。各キャリアさんが私達視覚障害者を含めた誰にでも使えるような携帯電話を1つでも多く製品化・発売していただくためにも、また、ドコモさんには、さらに良いらくらくホンを継続して製品化していただくためにも私達のおもいをぜひ今回のシンポジウムでお伝えしたいと考えております。

視覚障害者にも使える携帯電話をつくるためにはより高度な技術を必要とし、その付加価値はより高く、各企業の競争力を増すものと確信しております。
しかしながら、これらの付加価値の高い技術は、メーカーさんだけによってつくられるものではなく、ユーザーとともに作り上げて行くことによってのみ実現されるものと考えております。

その意味で、ユーザー・メーカーともにその立場を理解し合い、それぞれの立場での知恵を出し合うことが必要だと思います。
ぜひ皆さん、12月18日のシンポジウムにご参加していただき、積極的なご意見を出していただきたく切にお願い申し上げます。

各キャリアさんの講演者もそうそうたるメンバーです。
ぜひ私達視覚障害者の熱意でキャリアさんを動かしましょう!
そして、みんなでより良いユニバーサル携帯電話をつくって行きましょう!

なお、今回の案内については、先に要項の部分を、その後に開催趣旨を載せます。
以上なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。

内容
1.日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針」とは
「情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第四部:電気通信機器」
(JIS X8341」について

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 情報通信アクセス協議会標準化専門委員会 WG 副主査 水島 昌英

2.各キャリアにおけるユニバーサルデザインのミッション
(1)株式会社ウィルコム
株式会社ウィルコム事業促進部長 立石 篤申
(2)ボーダフォン株式会社
コーポレート・コミュニケーションズ本部 コーポレート・リレーションズ部 課長 CSRグループリーダー 石原 友信
(3)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
(株)NTTドコモ プロダクト部第三商品企画担当部長 中村吉伸

― 休憩 ―

3.ユニバーサル携帯電話のアンケート調査結果の報告

慶応大学湘南藤沢キャンパス桑原研究室 集計担当学生

4.視覚障害者からみたユニバーサル携帯電話の課題(全体討議)
5.参加費 無料

ただし、アンケート調査の集計結果を必要な方は1部2千円の資料代をいただきます。
(図表が中心のため、墨字と電子データのみ)

※アンケート調査の集計結果の概要版については、参加者全員に配布します(部数に限りあり)

6.誘導

会場の最寄り駅の相鉄線「二俣川駅」に正午から1時間程度誘導者を配置します。

7.展示会

便利グッズなどの展示会場を設けます
(出展企業については現在調整中)

開催趣旨

私達はこれまで視覚障害者にとってのICT(情報通信技術)環境のアクセシビリティ・ユーザビリティの改善をめざし、さまざまな調査や提言を行ってまいりました。これは、視覚障害のために多くの情報から隔絶されがちなハンディキャップを、ICTを活用することにより少しでも改善し、「情報」という宝物を健常者と同等に享受できるようにしなければならないと考えているからです。

中でも携帯電話については、画面表示をできるだけ音声化するとともに文字のサイズやコントラストを工夫するなどして、視覚障害者にも「使いやすい」ものを世に出すための様々な取り組みをしてまいりました。その結果、NTTドコモの『らくらくホンシリーズ』の最新機種では、キー入力時の音声読み上げが改善され、全盲者でもメールやiモード活用がより「らく」に、しかもより確実に行えるようになりました。

しかし、同じNTTドコモでも他のシリーズにまでこのユニバーサル・デザインは生かされていません。AUの一部機種でも画面の音声読み上げ機能がついたものもありますが、携帯電話会社全てに行き渡ってもいません。

一方今年10月20日、総務省と経済産業省は、日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第四部:電気通信機器」(JIS X8341-4)を制定しました。この規格は、携帯電話、固定電話、FAXなどの電気通信機器を高齢者や障害者が支障なく利用できるようにするために配慮すべき要件を規定したもので、具体的には、音量の調節機能、触覚でも識別できるボタン、メールなどの音声読み上げ機能の推奨などが盛り込まれています。これにより、高齢者や障害者が電気通信機器を利用する際のアクセシビリティの向上が期待されます。

今回のシンポジウムは、私達がメインテーマとしてきた課題の改善につながるこのJIS企画について学ぶとともに、携帯電話各社のこうした方面に関する取り組みの現状や将来について担当者の方から直接説明していただき、私たちにとって手軽で身近な携帯電話が視覚障害者の生活、情報の入出力をさらに支援する有力なツールとなることを願って企画しました。また、このような趣旨から今年夏に行った携帯電話に関するアンケート調査の結果を報告させていただくとともに、参加者全員で携帯電話のアクセシビリティー・ユーザビリティーを向上させるための方策を考えたいと思います。

年末のお忙しい時期ではありますが、視覚障害当事者の方は勿論、こうした方面に関心をお持ちの多くの方のご参加をお待ちしております。どうぞ多数お誘い合わせの上ご来場ください。