更新日:2017年9月17日

みんなが一度に「見ている」ものが、伝わりにくい・伝わらないことが、「見えない・見えにくい」ということです。
少し見づらい人から、まったく見えない人までいます。

厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査(平成23年)」によると視覚障害の身体障害者手帳所持者は約31万6千人ですが、日本眼科医会の平成21年の報告では、見えない・見えにくい人(視覚障害者)は約164万人いると推計されています。

弱視

この「弱視」と呼ばれる人たちはとても大勢います。

「見えるとき」の状態
「見えるとき」の状態
視野5度の見え方。
視線の行っている中心だけが見える。
視野5度の見え方
網膜出血。
網膜に出血等があり、光が網膜に届かないときの見え方。ぼやけているところに色がついていることもある。が、何が見えているのか分からない。
網膜出血

ここに示した見え方は、あくまでも一例です。参考までにと言う程度で見てください。
「見えにくい」といっても全体が小さく見えるとか、ぼやけているなど、定型的なものだけではありません。
視野の周辺が見えにくいとか中心だけが見えないといった見える範囲のこともありますし、明るさや周囲の物の陰のかかり方、その日の体調によってもまた見え方が違う人もいます。
見え方は人によって様々ですし、同じ人でも時によって様々なのです。

何も見えないわけではない。でも、「よく見えている人」のように、全てがきちんと見えているわけではないのです。

このような状態ですから
○遠くから手を振られても気づけない。
○いつも見えているものが、少し暗い場所に行ったときには見えない。逆に少しまぶしい場所に行ったら見えない。
○書体によって見にくい(明朝体は細い線のところがあるから見にくい)等。
○すぐ目の前にあるものでも視野欠損により、ちょうど視野欠損部分にかかっているために見えない。
など、

このようなことが起こることがあるので、

○手を振ったのに無視した!
○さっきまでちゃんと読んでいたのに、今は、読めないってどういうこと?
○ちゃんと大きな文字で印刷してあるのに何で読めないの?
○柱や、半開きのドアにぶつかったり、ゴミ箱を蹴飛ばしたりして、何て注意散漫な人なの?

こんな誤解をされるのです。

弱視の人は「目からの情報が不十分ですが、何も情報がないわけではありませんので、白杖を持っていないこともあります。
ですので、ちょっと見ただけでは弱視だと言うことがなかなかわからないことがあるかと思いますが、
「あれ?」と思われたら「もしかして見えにくいのかな?」と、その方のこと知ってみようと思ってもらえたらお互いに楽になると思います。

逆に、弱視の人も、自分が見えにくいことを周囲の人に知らせるために白杖を持っていることがあります。
でも、弱視ですから少しは見えます。そのような人に出会ったときに、

○「見えるのに何で白杖を持っているのよ!」
○「メガネをかけているのに何で白杖を持っているの?」などと

「白杖は全然見えない人が持つもの」という先入観で見ないでください。

全盲

目からの情報が全く伝わらない、
あるいは活動の情報源として活用できるだけの情報量が伝わらない、
という状態です。

光覚程度。
光は分かるし何か影が見えるがそれが何かは分からない。
光覚程度
手動弁から指数弁程度。
指がぼんやり見える。
手動弁から指数弁程度

 「全盲」と聞くと、真っ暗闇と思う人が多いと思います。でも、実際は真っ暗闇と感じる人は少ないのです。真っ白な世界、まぶしすぎる世界、と表現する人もいます。
星がいつもきらめいている、黒い点がたくさん飛び交っている、カラフルな模様がいろいろな形で現れては消え現れては消えと感じる。
視野の真ん中は見えないけど、外側は少し見えるところがあるという人もいます。
感じ方は、一人一人違います。

「見えない・見えにくい」というのは「目から伝わる情報がない、あるいは少ない」ということです。

ですので、どうでしょう。その情報が見ること以外から伝わったら
見えない見えにくい人から不便なこと不自由なこと困ること、つまり障害になることはなくなるってことなんです。

残念ながら今の社会には「見えるのがあたりまえ」とした情報発信の仕方が多いので、見えない見えにくい人に障害が作り出されてしまっているのです。

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