第2期 事業計画書

平成21年4月1日から平成22年3月31日まで

特定非営利活動法人神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワーク

本会の前身である「神奈川県視覚障害者の雇用を進める会」は、1977年5月に設立されました。当時の大きな課題は、視覚障害者の職域拡大にありました。視覚障害者の雇用を進める運動団体として発足し、先駆的でしかも画期的な成果を上げてきました。

時代の流れとともに課題も変わり、2001年に任意団体としての神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワーク(通称View-Net神奈川)として組織を改変しました。

当時の視覚障害者雇用の最も大きな課題が情報アクセスでした。すなわち、視覚障害者雇用を進めるためには、情報機器やインターネットのアクセス保障が必須条件となっていたのです。この課題解決のため当事者が利用しやすい環境の整備を関係機関へ働きかけてきました。その中の一つに携帯電話のアクセスがあります。らくらくホンの登場・改善にきわめて大きな成果を上げることができました。

らくらくホン改善の取り組みを通し、当事者自らが主体的に取り組む活動こそが最も利用しやすい情報環境の整備につながることに気付き、2009年3月16日に特定非営利活動法人として法人格を持つ組織に再度改変しました。

このように本会の組織は時代とともに変わり続けてきました。

「変化こそが存在証明だ」という言葉があります。課題がなくなれば本会のような組織は必要ではありません。時代の変化に合わせて変化しつつ本会が継続しているのは、視覚障害者を取りまく課題が存在し続けているからです。

本会は、これまでの運動によって培われてきた経験とノウハウを、当事者自らが主体的に企画・立案し、関係機関の協力を得ながら視覚障害当事者ならびに一般社会の人々に提供するという取り組みをはじめました。時代の変化に即した新たな活動のスタイルに変更したといってもよいかもしれません。さらには、本会の事業と、各所属団体の運動とを連携しつつ真に障害者の社会参加を促進・実現させるために総合的な取り組みを可能にした組織改革を進めたといってもよいでしょう。

21世紀は共生の時代です。米国型の新自由主義、金融資本主義、市場原理主義は、今回の米国の金融危機によって、その正体が明らかになりました。様々な人や国との共生、また人類と自然との共生が求められています。ICT(情報通信技術)や生命工学といった新しい技術は、競争によって相手を排除するのではなく、ともに生きるための技術として使われるべきです。

私達は、これまでの運動で培って来た経験を生かし、さらに新しい時代に即した情報技術の有益性を最大限に活用し、本ネットワークに参加する人達の英知を結集させることにより、私達一人一人の願いをさまざまな事業を通して具現化し、共生社会の実現に貢献して行きます。本ネットワークに参加する一人一人の涙と汗の一滴が大河のうねりとなることを願いつつ本事業を提案いたします。

I 事業実施の方針

  • 以下の事業を確実に実施することを目標とする。
  • 前事業年度に発足させたホームページの開設準備委員会の検討については、検討結果を通常総会に付議できるよう議論を進める。事業年度内の開設を目標とする。

II 事業の実施に関する事項

1 特定非営利活動に係る事業

(1)各種ICT製品及びサービス等にかかる事業

  • [1] オープンスクリーンリーダーNVDA講習会
    • 実施予定日時:平成21年4月~平成21年12月(隔月計5回)
    • 実施予定場所:法人事務所会議室
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:県内在住の視覚障害者とその家族及び関心のある一般県民
  • [2] らくらくホンの講習会の開催
    • 実施予定日時:22年2月15日
    • 実施予定場所:西区福祉保健活動拠点
    • 従事者数:30名(役員ボランティアを含む)
    • 受益対象者:携帯電話を使用している県内在住の視覚障害者と関心のある一般県民等

(2)ユニバーサルデザイン製品及びサービス等に係る事業

  • [1] 携帯電話シンポジューム
    • 実施予定日時:22年2月15日
    • 実施予定場所:西区福祉保健活動拠点
    • 従事者数:30名(役員ボランティアを含む)
    • 受益対象者:携帯電話を使用している県内在住の視覚障害者と関心のある一般県民等

(3)障害者の就労等に係る事業

  • [1] 就労相談の実施
    • 実施予定日時:通年
    • 実施予定場所:法人事務所
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:県内の視覚障害当事者及びその家族や企業の担当者

(4)障害福祉に関する情報提供、調査、研究に係る事業

  • [1] メーリングリストの運営
    • 実施予定日時:通年
    • 実施予定場所:法人事務所
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:県内の視覚障害当事者及びその家族
  • [2] Webアクセシビリティの検証
    • 実施予定日時:通年
    • 実施予定場所:法人事務所
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:県内の視覚障害当事者及びその家族

(5)障害に対する理解促進及び啓発に係る事業

  • [1] 福祉教育講師派遣
    • 実施予定日時:10月から12月
    • 実施予定場所:横浜市内の小中学校
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:対象校在籍児童・生徒
  • [2] 福祉教育マニュアルつくり
    • 実施予定日時:年間
    • 実施予定場所:事務所
    • 従事者数:10名
    • 受益対象者:福祉教育の講師をする視覚障害者及びその関係者