ご挨拶

神奈川県視覚障害者の雇用を進める会

会長 新城 直

神奈川県視覚障害者の雇用を進める会は、1977年5月7日に結成され、今年、満20周年を迎えることができました。本会は、当時の横浜市立盲学校理療科の学生の要請に応え、全国に先きがけて結成された運動団体です。運動の中心を視覚障害者の雇用課題に絞り、交渉・学習活動等を積み重ねた結果、様々な形で成果をあげました。そして現在では、全国の視覚障害者雇用運動の牽引力としての役割を担うまでに至りました。

しかし、一方では、時代の流れもあって、運動が徐々に停滞し、この数年では、本会の解散問題が大きく取りあげられたのも事実です。最終的には、学生より「なんとか続けてほしい。」との強い声があがり、検討の結果、本会を再出発の決意を込めて、継続することになりました。

このように一口に20年と言っても、運動を進めてきた私たちにとっては、様々なことがありました。交渉にでかけるにしても、家族や職場の仲間に負担をかけ、物質的にも精神的にも多大な犠牲をはらって、運動を進めて来たのです。「なぜそれほどの犠牲をはらってまで運動を続けるのか。」と問われたり、自身に問うこともあります。そんな問いに答えるならば、現在の日本において、「視覚障害者の雇用は運動によってのみ、産み出される。」と考えるからです。「与えられるものではなく、作り出すものである。」と考えるからです。私たちは、広く社会に目を向け、視覚障害者にとって豊かに暮せる社会にして行く。そしてその延長線上には、だれもが豊かに暮せる社会の実現があるからです。また一方、「運動が好きだから。」ということもあります。運動する中でいろいろな人達と出合い、いろいろなことが学べるからです。視野が広がり人として成長し、人生が豊かになるからです。

結成20周年を迎えるに当たり、これまでの私達の運動の歴史を初めて記念誌として今回まとめることが出来ました。20年間で獲得したひとつひとつの事がらについて、その経過から書かれています。ある意味では、日本における視覚障害者雇用運動の歴史とも言えるものです。またこれまで本会の運動に係わって来られた人達の歴史とも言えます。

「怒りの無いところに運動は無い。」と言われます。この記念誌が全国の視覚障害者運動に希望と勇気を与え全国にこの運動の輪が広がることを期待してやみません。

最後に本会の結成と発展に係わって来られた方々に対し、心から感射申しあげ、ご挨拶といたします。

1997年12月6日