社会の最小単位は家族ですし、学校の学級だって一つの社会です。
そこでまずは身近な社会が共生社会になるには、どうしたらいいかを考えてみましょう。
家 族
年齢も様々、男性も女性もいます。家族にだって誰一人として同じ人はいません。みんな違いがあります。
家族だから比較的いっしょにいる時間も多いのでお互いに「どういうことが得意で、どういうことが苦手か」など、いろいろと分かり合っている部分も多いかと思いますが、もしかしたらまだまだ知らないことがあるかも知れません。
○家族皆が食卓を囲んで談笑しています。
そのメンバーに耳が少し聞こえにくくなったおじいさんがいます。
そのおじいさんは、いつも自分がよくわからないことを教えてくれます。
小さな声でボソボソしゃべっていたら、おじいさんはその談笑に加われるでしょうか。
ではどうしたらおじいさんも他の家族といっしょに談笑できるのでしょうか。
考えてみてください。
○家族みんなできょうはハイキングです。
一番下の妹は3歳になったばかり。
無邪気な妹は楽しい歌を歌ったりして、家族を和ませてくれます。
小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんはどんどん歩いていってしまったら、一番下の妹はどうなってしまうでしょう。
妹もいっしょにハイキングを楽しむためにはどうしたらいいでしょう。
考えてみてください。
そこでまずは身近な社会が共生社会になるには、どうしたらいいかを考えてみましょう。
学 級
同じ年代の同じ地域の子どもの集団。
なんとなく好きなことややっていることが似ているかも知れませんが、誰一人として同じ人はいません。
算数が得意な人、歌が得意な人、運動が得意な人。また逆にそれぞれ不得意な人。
いろいろな人がいます。
同じクラスですから、他のクラスの人たちよりも、少しはお互いに知っていることが多いかも知れません。
でも、先入観が邪魔をして知らないことだらけなのに知っているつもりになって、お友達のことを誤解していることもあるかも知れません。
○クラスで音楽会をすることになりました。
A君は歌がとても苦手。「A君には音楽は無理だから、どうしよう。」と、実行委員のお友達は悩んでしまいました。
そこでA君のことをもっと知ってみようと、実行委員のお友達は、たくさんA君とお話したり遊んだりしました。
すると、歌は苦手でもリズムが大好きで太鼓がとても上手なことがわかりました。
実行委員のお友達はさっそくA君を太鼓の担当にしました。
運動が苦手な子もいます。クラス全員で楽しめる運動会にするにはどうしたらいいでしょう。
人前で話すことが苦手な子もいます。クラス全員で楽しめる学習発表会にするには、どうしたらいいでしょう。
おとなしくていつも無視されがちな子がいます。皆がお互いの存在をしっかり認め合って、仲間はずれの子がいないクラスにするには、どうしたらいいでしょう。
まずは、家族や学級と言った身近な社会に目を向けてみませんか?
その小さな社会で、皆がお互いに快適に暮らせる居心地の良い社会を作ってみませんか?
そのときに特定の人だけが頑張っていたり我慢していたりということがあってはいけないのです。
その構成員ひとりひとりが自分のことだけではなく、他の人のことを思いやり、少しずつ頑張ったり我慢したりすることで共生社会は構築されるのです。
相手の「できないこと」を知って「この人は○○ができない」としてその場から排除したり、「助けてあげなければならない自分たちとは異質の存在」とするのではなく、
何が障害となって「できない」という状況になっているのかを発見し、それを取り除くにはどうしたらいいか、「どうしたらできるようになるか」「どうしたらともに楽しめるのか」をみんなで考えてみてください。
身近な社会で共生の考え方の中で経験を積んできた人ならば、
地域社会や市町村・都道府県・国といった大きな社会においても、その応用で多様な人たちと真の共生社会を構築していける人になっていくと確信しています。