厚生白書「バリアフリー社会を目指して」

1990年代に「バリアフリー社会を目指して」という厚生白書が出ました。
このバリアフリーという考え方は、
社会の側に心身機能の障害を受け入れない障害がある、これをバリアと呼び、この今あるバリアを無くすことが重要だと提唱しました。

2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)では、「社会的障壁の除去」という文言が使われ、最初は国や地方自治体に、そしてすべての事業者にもその社会的障壁(バリア・障害)をなくすことを義務化しています。

以前は個人モデル(医学的モデル)に基づき、不便や困ること(障害)が起こる原因は「その個人の心身機能によるもの」として定義づけられていました。
しかし、現代の考え方では「社会環境因子の整備で障害(バリア)を取り除くことで、困りごとを無くすことができる」という障害を社会モデルとしてとらえ、
今までの人類が構築してきた「あらゆる人々を受け入れようとしない社会の障壁(バリア)」を取り除くことで、様々な人にとって困りごとがない社会が構築されるとしています。

 社会的障壁(バリア)の4分類

○物理的障壁(バリア)

・・・放置車両など

○制度的障壁(バリア)

・・・点字受験が認められてない試験、盲導犬同伴を断る飲食店など

○文化情報面での障壁(バリア)

・・・目で見ないと伝わらない資料しかない、タッチパネルの操作を求められる、Webページやアプリのアクセシビリティーが悪い、など

○意識の障壁(バリア

・・・知らないために起こる差別意識(最も重要かつ克服が難しい)
 知らないことが誤解を生み、また誤解がその上に偏見を生み、偏見が差別を生み出すのです。
例えば、弱視で、遠くのものが見えにくい人がいます。その人が、そのように見えにくい人とは知らない人が、「挨拶しても無視する、いやな人」と誤解されてしまい、以後仲間はずれにされてしまうことがあります。
 また、知らないことがかえって障害を作り出してしまうこともあります。
見えないと歩くことは不自由ですが、足が悪くて歩行が不自由なわけではありませんが、身体を抱え込んで抱きかかえようとして誘導してしまう方がいます。白杖が自由に使えなくなることに加えて身体のバランスもとりにくくなって返って歩きにくくなります。
障害を取り除こうとしているのだけど、かえって新たな障害を作り出してしまっているのです。
 心身機能がどのような状況であっても、誰もが同じ欲求・権利を持つ人間であり、社会の中で共に生きていく仲間であるという「共生」の障害者観を持って相手のことをいろいろと「知ること」が心の障壁を取り除く解決策です。

この4つの障壁のうちの「意識の障壁」がなくなることで他の3つの障壁はなくなります。
なぜならば、物を作るのも制度を作るのも文化情報を発信するのも人だからです。

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