1. 実施場所: 横浜市立中川西中学校

2. 実施日時: 平成24年 5月18日 9:05~11:55(1校時分ずつ、3講座実施)

3. 対象者: 中学2年生 120名ずつ 合計360名

4. 内容
(1) 視覚障害者は何で不自由が生じているか
→下肢障害者も視覚障害者も、どちらも歩行が困難という現象が起こるが、その原因が根本的に違うことから。
○ 情報不足→情報があれば不便は解消される。
○ 視覚情報を視覚以外で入手できる工夫(便利グッズの使用・ユニバーサルデザイン製品の使用・自分なりの工夫)。
(2) 視覚以外から情報を得る体験
→その場で目をつぶってもらい、下の2つの体験。
○ 録音音源を聞いて、判断する。→ビンの音・鉛筆の音・黒板にチョークで文字を書いている音。
○ 鉛筆入れから日常的に使用しているペンを手の触覚のみで取り出す。
(3) 視覚でないとどうしても入手できない情報がある。
→町を移動するとき、視覚情報がないと、情報不足。
○ 見える人が提供することができる。
○ 基本的な情報提供の仕方(誘導法)の説明。
(4) 生徒全員が誘導姿勢を体験
→二人一組で体験。ただし、これはあくまでも誘導の仕方の練習であるので、視覚障害者役の生徒はアイマスクを使用しない。
「この体験の目的は誘導の仕方であって、見ないで歩くことが怖いということを体験する物ではない」
「見える人がいきなり視覚遮断されたときの感じ方と、視覚障害者の視覚以外からの情報入手の仕方とはちがう」
ということをきちんと説明。
(5) バリアを作らない人になってください。
○ バリアフリーと言われているが、バリアが存在しているから言われていること→バリアを作り出したのは人。
○ 今も将来もバリアを作らない人になってください。
○ 家族やクラスの人に対してバリアになっていませんか?
→みんなちがう、そのちがいを認め合い理解し合うことが大切。
(6) 質問タイム

5. 講師の感想等
・ 今回は他の団体さんが引き受けられていた講座に予定の講師の方の都合が付かずに、急遽うかがった講座でした。
そのため、View-Netとしておすすめしていない「アイマスクをしての歩行」のプログラムが組み込まれており、急遽アイマスクはしないで、いつでも目を開けられる状況にして、「あくまでも誘導方法の体験であって、見ない体験ではない」ことをご説明しましたが、多くの生徒さんにとって「目をつぶって歩いて怖かった」という印象が、他の話や「見ないでできた体験」よりも強く残ってしまい、「見えないとこんなに大変なんだ」というネガティブなところが強くなってしまったことが残念でした。
しかし、その中でも数名の皆様は、話の内容等を印象に残してくれていたことが幸いでした。(下の感想等を参照ください)

6. 学校からの感想等
〈先生からのコメント 抜粋〉
・ きちんと聞いていましたが、"声を出さないと伝わらない"ということは理解せず、だまってうなづいたり、ほほ笑んだりしていた。
・ 録音を聞いて、何のシーンか当てる活動に興味を持っていた。
・ 急に講師の先生が入院され、アイマスクがなくなったのでチームも決めていた子ども達はがっかりしたようだ。
→「5」に書いた理由によるもの

〈生徒からの感想 抜粋〉
・ どんな障害をもっていても中身は普通の人と同じなんだと感じました。もし困っている人を見かけたら、声をかけて何か出来ることを手伝いたいと思いました。

・ 「バリアだらけの社会だから不自由な思いをしてしまう」という言葉が印象に残っています。そして、障害を持った方を「特別」だと意識してしまうこと自体、私が作ってしまっているバリアだと思いました。特別だと意識してしまうことで手伝えることもできなくなってしまったり、困っているのに見て見ぬふりをしてしまい、それがバリアになってしまうんだと思ったからです。これからは変に意識しすぎたりせず、自然に声をかけられるようにしたいです。すぐに色々はできないと思うけれど、困っていそうだったらどんな人にでも、まず「お困りですか」と声をかけるところから始めていこうと思います。

・ 僕は、講師の方のお話をお聞きする前はバリアフリーをつくることがいいこと、という考え方しかもてませんでした。しかし、お話を聞いて「バリア」をつくらないという新しい考え方ができるようになりました。

・ 視覚障がい者の方も普通の暮らしをしていてわたしたちと同じなんだなと感じました。とくに印象に残っているのはバリアフリーの話で、わたしはバリアをつくらない人になりたいと思いました。

・ 目をつぶって歩く体験で、周りが見えないことがこんなにも不安なんだと思いました。今、自分が体育館のどこの位置にいるのかも分からなくてきんちょうしました。ふだん何も気にせず歩いているけど、それは周りから情報が入ってくるからなんだと感じました。

・ 目の障害をもっている方は僕が普段みている、光景がまったく見えないので目から情報がなく、とても大変であぶないことがわかりました。だから町でそういう方を見つけたら、親切に誘導しなければならないと思いました。

・ 私がもし見えなかったら、きっとヘルパーさんに頼ってしまうし、とても1人では歩けないと思います。でも、努力し続けるさまざまな障がいの方をみていると、私も努力しなければならないという気持ちになりました。

・ 体の障害があるというのは生活していく上で、決して楽なことではないと改めて実感しました。私にとって目とは生活していく上で色々な情報を集めるのに絶対必要なものだと思います。2人組の体験をして、見えないというのは、真っすぐ歩くこともできず、周りの状況も分からず、とても大変で辛いことなんだと分かる事ができました。街で困っている人がいたら手伝うというのを心がけたいと思います。

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